2016/02/21

慈母観音を求めて-札所4番 金昌寺

2月最初の土曜日
ふと思い立ち 寒空の下 札所4番へツーリングで行くことに
 横瀬町から望む武甲山はより一層美しい
橋の上からは秩父連山が
 双子山も仲良くきれいに雪化粧
先日の大雪がまだ残る中 切る風は冷たく厳しくも
目の前に次々と現れる冬景色が心を暖めてくれた


やっと到着
札所4番 金昌寺
ここには慈母観音があり 父が複製した像が聖地公園に安置してあるので知ってはいたけれど
訪れたのは初めて
見事な二階造りの仁王門
大きな草鞋が迎えてくれる

木の柵の中には
木造りでは札所一番の大きさを誇る迫力のある仁王様が
この仁王様は健脚の神として尊信されてきたことから草鞋の奉納となったと言われているそう
 門をくぐるとそこにはお地蔵さんの世界が広がっていた
梅とみかんできれいに飾られた手水場
 坂の両端にもびっしりと
門の2階にも所狭しと石仏が
春にはきれいな花々が咲き乱れるそうで
それはそれはきれいだろうな
奥にあるのは十一面観音
金昌寺は石仏の寺として有名で 1300余体の石仏群は羅漢・観音・地蔵・不動・十三仏などさまざまで
寛政元年(1624年)住職古仙登嶽和尚が 寺の繁栄と天災等の犠牲者供養のため発願し
江戸を中心とする各地を巡り寄進をつのり 7年の歳月をかけて成就したものなのだそう
                酒呑羅漢                      お釈迦様
坂の先に本堂が見えてくる
訪問者は私たちだけの静謐で不思議な時空間
急な斜面にも上手に立っている
 雪に埋もれているような 雪の中から出てきたような
みんな物は言わないけれど
一人ひとりに思いが込められているんだろうな
秩父のマリアとも呼ばれる慈母観音
授乳の姿をした慈母観音は珍しく「子育て観音」として親しまれている
よく見るのは乳児を抱いた立像で 江戸時代のキリシタン禁止令で弾圧を受けた信者達が
聖母マリアを投影して偶像化した慈母観音で「マリア観音」と呼ばれることが多い
この子育観音は実は聖母マリア観音であり 蓮台下部のカエルは聖ミカエルを意味したものだとも言われる 
子供に乳を与えるなんとも美しいこの姿・表情
この寄進者は寛政4年(1792年)江戸商人の吉野屋半左衛門と言われており
この堂にこもって子を授かったものの その後妻と子をあいついで失ったため
生前の母子の姿を浮世絵師に下絵を描かせ 建立し供養した像と言われている
蓮台下部のカエルの彫刻は再生を願ってつけられたものなのだそう
そうだったのか
由来を知って益々思いが強くなった
春が来るのをじっと静かに待つ石仏たち
春もきれいだろうけど この雪の中の石仏たちの光景を見れたのもラッキーだったのではないかな

春にまた来てじっくり見よう
と心に決めて
寒空の下ペダルに足をかけた